「旅する編集室:多孔質のデザイン」トークレポート③
更新日:2018.02.13
2017年11月28日(火)〜12月16日(土)まで、大阪・肥後橋にあるCalo Bookshop & Cafeにて、作品展「POROUS ーTransit Republic 旅と校正2017 / proofreader traveler 2017」を開催しました。
その会期中にFLAG studioで行われた、関連トークイベントのレポートを4回にわけて掲載します。


POROUS Transit Republic 旅と校正2017 / proofreader traveler

関連トークイベント「旅する編集室:多孔質のデザイン」
日時|11月29日(水)19:30〜21:00
場所|FLAG studio
登壇|後藤哲也(デザイナー、OOO projectsディレクター)
   港千尋(写真家、著述家、Art Bridge Instituteディレクター)




第3回
会える場を作り出す『Mobile Talk』



港 |少しメディアの話をしますと、写真家として感じたここ20年での一番大きな変化は、グラフ誌がなくなったことだと思うんです。トークがはじまる前に、江之子島文化芸術創造センターで開催されている「学生がつくる大阪新美術館・enocoのコレクション展 20世紀の写真芸術」を見にいきました。素晴らしいコレクションで、ため息がでました。ヴィンテージプリントのオリジナルだと思いますけれど、いまは絶対につくることのできない、ほとんど写真の歴史150年分くらいが入っているような展示でした。
特に関西の写真クラブの、初期のコレクションは本当に充実していて。同時期のロシア・アヴァンギャルドや新興写真、未来派、なんとバウハウスまで、あの時代の表現が時差なく入ってきていることがわかる。
では、どうやって最先端の情報をものにしていったのか?少なくとも70年代まではオリジナルプリントを見る機会はなかったので、欧米の最先端の写真表現を、アジア諸国では雑誌を通して見ていたのだと思います。それらの雑誌が大判だったというのが重要だと思っていて、実際のプリントよりも大判で見ていた可能性もありますね。『Life(ライフ)』が創刊されて以降、その傾向も強まったのではないかなと思います。
『ART BRIDGE』を創刊するときに、僕が最初に提案したのは誌面の大きさでした。この見開きのサイズで、写真を見る経験を取り戻したかった。そして、この大きさだと何人かで一緒に見ることもできますよね。映画でもよくあるシーンですが、雑誌を広げていると、隣りにいる人が覗き込むわけですよ。いわゆる電子書籍と紙のメディアの違いは空間性にあって、紙のメディアには一つの場をつくりだす力があったはずなんですよね。まだまだ紙のメディアも力を持っているような気もしますが、アジアではどうでしょうか?


後藤|もうすぐソウルでUNLIMITED EDITION(アンリミテッド・エディション)がはじまりますが、日本でもオルタナティブな出版を対象にしたブックフェアが人気ですね。
実際に会わないとわからないような情報も多くて、各地で活躍するデザイナーたちと会えるような「Mobile Talk(モバイルトーク)」という巡回型のトークシリーズを、オウ・ニン(中国/キュレーター)、キース・ラム(香港/メディアアーティスト)、ヤン・ヨウ(中国/独立系写真出版社「Jiazazhi Press」主宰)とスタートしました。
移動するトークシリーズというコンセプトで、初回はFLAG studioを会場に、香港と台北でも開催しました。互いの情報をアップデートしていけるような場であり、それぞれの地域の人たちも集まって交流できるような機会になっています。これまでも、日本の著名なデザイナーがアジアで講演をするようなことはあったと思うのですが、もっとフラットな場づくりを目指しています。助成金の申請などもしていませんし、お金が稼げるわけでもないので赤字ですが、年に1回程度、旅行がてらにやりたいなと。
Mobile Talk|Osaka
Mobile Talk|Osaka
港 |トークには、どんなトピックが出てくるのでしょうか?


後藤|初回は、「♯Independent/Collective(個/集合体)」を共通テーマに、個人としての活動とコレクティブとしての活動を行き来することについて。また、そのためのネットワークをつくりたいという大きな目標がありました。
Mobile Talkをきっかけに、どこに行ってもその場所でコラボレートできるような関係性が築けたらいいなと。


港 |直接会って話をしたときの密度には、代えがたいものがありますね。特にデザインだと、直接ものを見せ合いながら話せることも重要なのではないでしょうか?ちなみに、やりとりは英語ですか?


後藤|共通言語が英語しかないので、基本は英語で話をしています。もう一つは、自分たちがつくったものを机の上に並べて、それをもとに話をしていく。会場の参加者も交えてみんなで話し合うときには、ものがあると進めやすいので。それはとてもデザイン的だと思いますね。フィジカルなものを媒介にして、話していく。


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Mobile Talk|Taipei