
齋藤彰英
Akihide Saito
移動 / 記憶 / 自然
太古の記憶が刻まれた糸魚川静岡構造線。かつてこの険しい地形は、巧みに利用され物流の道として人々の生活を支えていた。それは縄文期にまで遡ることができる。さらに長い年月を通して、道は信仰や文化も作り出してきた。私はこの道を移動し追体験することで、私達の体に刻まれた始原的な記憶を掘り起こしたいと考えている。
05 《移動すること》構造線と塩の道 ⑤
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《今後のリサーチについて》
縄文期、あるいは旧石器の時代から使われていた塩の道をリサーチすることは、今日の私たちにとって重要な要素が見えてくると感じ、このリサーチを始めました。ブリッジストーリーの1回目は南塩の起点である静岡県牧ノ原市相良から始め、今は使われなくなった「おぞい道」とその道に残された「弔いの形」を紹介し、2回目は「拠り所」をキーワードに獣や小動物と同じように古代の人々が地形の縁を移動し生み出した始原的な道を考察しました。3・4回目では、塩の道の山間部に残される「湯立神楽『花の舞』」「秋葉寺『火まつり』」をリサーチし、地形と信仰、信仰と芸能の景色を紹介しました。
塩の道は、諏訪を中心に以北は糸魚川静岡構造線、以南は中央構造線に沿って連なっていますが、このブリッジストーリで紹介した塩の道は、南側の半分も満たしていません。前回紹介した秋葉寺より北側には、霜月や田楽神楽の文化を残す水窪、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わり戦国の時代には重要な軍用路として使われた分杭峠、御柱祭が執り行われる上諏訪・下諏訪神社。また、石器時代に黒曜石の産地となっていた八ヶ岳、翡翠の産地である姫川流域、塩を運ぶ歩荷たちの宿場町であった仁科三湖。その他にも、この土地に生きた人々の姿勢を生々しく残す土地がいくつもあります。
また、「《移動すること》構造線と塩の道」と題してきましたが、レポートできたのは地表部分に見られる景色に留まっており、構造線と道との関わりを深く掘り下げることができませんでした。例えば、佐久間町でおこなわれる「花の舞」と水窪町でおこなわれる「霜月神楽」は共に湯立神楽を軸にします。しかし、隣接する土地にもかかわらず神楽の様式や派生の様子は異なったものになりました。なぜなら、この二つの土地の間には中央構造線が地下を貫き、異なる地質は地上に異なった地形と森を形成し、それを糧に生きる動物や人間は構造線を境に異なる受容のしかたを強いられたからです。そしてその影響は文化形成にまで及んだのです。平野の堆積地域とは異なり、地質がむき出しになる山間部ではこうした事例が多く見られます。
今後は、広域に渡る塩の道リサーチとともに、より深い視点で構造線を掘り下げ、この土地に生きるための始原的な感覚を探求し、またそこに見られる景色を写真や美術を通じて表現していきたいと考えています。
縄文期、あるいは旧石器の時代から使われていた塩の道をリサーチすることは、今日の私たちにとって重要な要素が見えてくると感じ、このリサーチを始めました。ブリッジストーリーの1回目は南塩の起点である静岡県牧ノ原市相良から始め、今は使われなくなった「おぞい道」とその道に残された「弔いの形」を紹介し、2回目は「拠り所」をキーワードに獣や小動物と同じように古代の人々が地形の縁を移動し生み出した始原的な道を考察しました。3・4回目では、塩の道の山間部に残される「湯立神楽『花の舞』」「秋葉寺『火まつり』」をリサーチし、地形と信仰、信仰と芸能の景色を紹介しました。
塩の道は、諏訪を中心に以北は糸魚川静岡構造線、以南は中央構造線に沿って連なっていますが、このブリッジストーリで紹介した塩の道は、南側の半分も満たしていません。前回紹介した秋葉寺より北側には、霜月や田楽神楽の文化を残す水窪、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わり戦国の時代には重要な軍用路として使われた分杭峠、御柱祭が執り行われる上諏訪・下諏訪神社。また、石器時代に黒曜石の産地となっていた八ヶ岳、翡翠の産地である姫川流域、塩を運ぶ歩荷たちの宿場町であった仁科三湖。その他にも、この土地に生きた人々の姿勢を生々しく残す土地がいくつもあります。
また、「《移動すること》構造線と塩の道」と題してきましたが、レポートできたのは地表部分に見られる景色に留まっており、構造線と道との関わりを深く掘り下げることができませんでした。例えば、佐久間町でおこなわれる「花の舞」と水窪町でおこなわれる「霜月神楽」は共に湯立神楽を軸にします。しかし、隣接する土地にもかかわらず神楽の様式や派生の様子は異なったものになりました。なぜなら、この二つの土地の間には中央構造線が地下を貫き、異なる地質は地上に異なった地形と森を形成し、それを糧に生きる動物や人間は構造線を境に異なる受容のしかたを強いられたからです。そしてその影響は文化形成にまで及んだのです。平野の堆積地域とは異なり、地質がむき出しになる山間部ではこうした事例が多く見られます。
今後は、広域に渡る塩の道リサーチとともに、より深い視点で構造線を掘り下げ、この土地に生きるための始原的な感覚を探求し、またそこに見られる景色を写真や美術を通じて表現していきたいと考えています。

構造線の谷を流れる朝雲

分杭峠/ここで二つの構造線は交差し、平行して北上する

諏訪上社前宮参道/幹幅3mを越える欅が数多く見られる

北アルプスの麓に生息するニホンカモシカ

糸魚静構造線露頭面/6億年前の地質(青)と1600万年前(茶)の地質が接している

糸魚静構造線に沿って走るJR大糸線

枕状溶岩/1600万年前の海底で噴出溶岩が冷却され生まれた山肌

大町市街/北アルプスの麓に広がる扇状地 険しい山間部を抜け出た歩荷たちが体を休める宿場町として栄えた

日本海に沈む糸魚川の夕日/北塩の道の起点
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