Transit Republic / 越境芸術祭 In LA
Group Exhibition “Reading Footprints”
移動型のラボラトリー『Transit Republic』の第一弾は、アメリカ、日本、台湾、東南アジアなど環太平洋地域をリサーチしながら、同時に制作や討論をロサンゼルスで開催しました。
ロサンゼルスのサンタモニカ空港に隣接するアリーナ1ギャラリーを拠点に、アーティスト、キュレーター、エデュケーター、リサーチャー、編集者など、さまざまな背景を持つ人たちが入れ替わり立ち替わり滞在しては、展示、トークイベント、上映会などを企画・実施した。東アジアのコレクティブにスポットを当てたスペースでは、ジェントリフィケーションや移民文化など、現在世界中で起きている現象についても取り扱われている。
会期中、人が訪れることによってギャラリーは更新され続けた。また、わたしたち自身もギャラリーを飛び出して、連日のようにアーティストやアーティストランスペースに出向いた。市内の再開発地域を訪ね、移民コミュニティとアートの多様な関係をリサーチするなかで、メキシコとの国境の町ティフアナを訪れることになる。そこでの交流がきっかけとなり、会期後半にはティフアナを拠点とするアーティストたちの作品も展示に加わることになった。
これら一連の企画やリサーチを、『ART BRIDGE05』として出版すべく、拠点の一角には「編集室」を設けた。アート、人類学、ジャーナリズムをつなぎリアルタイムに制作と発表を行う新しい形式のアクションである。試行錯誤を繰り返しながら、今後もその方法論を進化させつつ、第二、第三の越境芸術祭を目指す。

Transit Republic materialized from the tactile necessities of site specific research and archiving of multifaceted creative disciplines across national and sociopolitical borders of the Pan Pacific realm.
As a transposing publishing bureau and micro arts festival correlating international border cultures, the project is produced by a selected group of artists, curators, editors and educators responding to the current sociopolitical landscape in which the balance of power has shifted away from international frictions to internalized disparities within economical class structures. From immersive reexamination of the creative economy, contemporary enterprises and its impact on local communities can we weigh the human footprints left on our environment. The objective of this research is the world-making compilation of informative dialogues and findings forming into Art Bridge’s 5th issue, the first of its kind to incorporate a true DIY manifesting of collecting local news as well as creating a platform for collaborative possibilities, ethos of change and critical togetherness. This first iteration of Transit Republic, was set in Los Angeles. The projects duration of twenty five days coincides and is inspired but the short lived Republic of California before the Gold Rush.

『Transit Republic:Pan-Pacific Collective Projects』
会期|2017年1月14日〜2月4日
場所|Arena1 Gallery(3026 Airport Ave, Santa Monica Art Studios)
企画|キオ・グリフィス、港千尋、江上賢一郎、服部浩之、龔卓軍、関川歩
Group Exhibition “Reading Footprints”
4名のアーティストによる、足跡を読む作品群。岩根愛は、ハワイの日系写真館で集合写真撮影に使用されていたパノラマカメラを使用し、福島県の避難区域とハワイ各地の荒野に忘れ去れた日系一世らの墓地を写した。阪田清子は金時鐘(1929-)による長編詩集『新潟』をモチーフにした、映像作品『対岸について』。根間智子の『Paradigm』は沖縄の風景を時間や空間の概念を超えて映し出す。仲宗根香織は、歴史や政治、観光など特異なイメージを孕む沖縄に対する「フレーム」をなくし他者とつながることを、写真を通して試みる。
Artist|岩根愛、仲宗根香織、根間智子、阪田清子
Group Exhibition:“Emerging from the rubble – Art/Activism against the gentrification in East Asia”
東アジア各地で進行している都市の再開発、ジェントリフィケーション。それらが引き起こす問題に、アートを介して取り組むアーティストやコレクティブの作品をアーカイブ形式で紹介。Listen to the Cityによる、ソウルの立ち退き抵抗の映像記録や、Jazoo Yangによる釜山、再開発エリアでのストリートアート・プロジェクト。香港で都市農園を行っている「The HK Farmers’ almanac」制作のアーカイブボックスや、油麻地に存在したアートスペース「Woofer Ten」の活動をまとめた書籍などを展示した。
Artist|JAZOO Yang× TJ Choe, Lee Chung Fung, Listen to the Cuty & Jiro Ueta, Michael Leung
Curation|江上賢一郎
Group Exhibition:“Crossing Waters”
南北に縦に伸びる地形を持つ日本の歴史において、北海道と沖縄は隣国と身近に接する場所であり、「先端」として時代の激しい変化や異文化との接触を直接的に体験してきた。海を隔てたこのふたつの地に根ざし、制作を続けること。また、それぞれを訪れ、出会い、交流を重ねるとともに影響を受け合いながら表現していく作家を取り上げた。北海道出身の岡部昌生が伊江島から送った、フロッタージュされた手紙や、沖縄出身のミヤギフトシが北海道を起点に侵略や弾圧の波にのまれ失われたいくつもの歴史と悲しみを、海の映像と共に紹介した。
Artist|ミヤギフトシ、岡部昌生
Curation|町田恵美
Exhibition:“Untitled”
沖縄に出自を持つ金城はその風土から生み出される錆に着目し、移ろいゆくさまを淡いグラデーションの空間に閉じ込めた。時間の経過とともに変化するものを留め、拮抗させる情景を描く。
Artist|金城徹
Program 1: “parallel narratives from the other side”
アメリカで生まれたボディビルディングの渡来を通じて日米の関係に付随する日本の近代化を考察する田村友一郎。沖縄、日本、そしてアメリカの諸関係をプライベートな経験を交えて眺めるミヤギフトシ。グローバル社会におけるタイの宗教や慣習、政治状況を描き出すチュラヤーンノン・シリポン。太平洋を介してつながるアジア地域とアメリカの関係を、三作家の映像を介して、世界を異なる複数の場所から俯瞰し物語を描出する試み。
Artist|田村友一郎、ミヤギフトシ、Chulayarnnon Siriphol
Curation|服部浩之
Program 2:“Chikako Yamashiro’s film”
「あなたの声は私の喉を通った」 “Your voice came out through my throat”(2009)
「沈む声、紅い息」 “Sinking Voices, Red Breath”(2010)
「創造の発端」 “The Beginning of Creation: Abduction/ A Child”(2015)
出身地である沖縄で制作を続ける山城の近年の作品で構成。《あなたの声は私の喉を通った》で、沖縄戦の記憶の継承の在り方を模索し、誰かを演じることで、他者を自己に取り込む術を表現として咀嚼していく試みを《創造の発端》では映し出す。言葉として発話されないまま漂っている想いや死者たちの声の回流がマイクに集まる描写の《沈む声、紅い息》など、沖縄の抱える問題を一面的ではないあらゆる角度や距離をもって捉え、提示する。これらの映像は、観る者にさまざまな解釈をもたらす。
Artist|山城知佳子
ART BRIDGE編集室+図書室+アーカイブルーム
藝術観点ACT(国立台南藝術大学/台湾)、交陪藝術誌(台南市文化局/台湾)、las barcas(小舟舎/沖縄)、越境広場(越境広場刊行委員会/沖縄)
Collections of works from Cuba, Puerto Rico and Mexico
Artist|Mely Barragan, Daniel Ruanova, Julio M Romero, Luis Alonso Sanchez, Tavo Camarena, Haydee Jimenez, Ingrid Hernández(artist, Mexico)
Curated and arranged |Julio Romero, Mario Vasquez, Agusto H Carlos and Daniela Lieja Quintanar
Masao Okabe|Aerogramme
Group Exhibition "Emerging from the rubble – Art/Activism against the gentrification in East Asia"
ART BRIDGE Editorial Room and Library
Chikako Yamashiro Screening|Echo Park Film Center