Tokyo Art Research Lab(TARL)にて、芹沢高志氏がナビゲーターを務める「新たな航路を切り開く」と題されたプロジェクトの映像プログラムに、当団体ディレクターの港 千尋が登壇します。

映像プログラムの他、ワークショップ、ケーススタディ、演習が組み合わせられた複合的なプロジェクトです。
新たな航路へと漕ぎ出す実践者が、それぞれの羅針盤を手にする機会となり得る内容が展開されます。


応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点
視点1 港 千尋:  前に走ってうしろに蹴る  6月13日(月)
視点2 佐藤李青:  3.11からの眺め       6月20日(月)
視点3 松田法子: 生環境構築史という視点   6月27日(月)
視点4 若林朋子: 企業・行政・NPOとの応答  7月4日(月)
視点5 相馬千秋: フェスティバルの変容    7月11日(月)

日付はTokyo Art Research Lab公式YouTubeチャンネルでの映像公開予定日です。

詳細はリンク先をご確認ください。
2016年にスタートしたABI+P3共同出版プロジェクトにて、オンライン英語版を含めると第4弾となる
『Across The Waters』港 千尋 著 を刊行しました。
刊行を記念し、2022年5月12日より2週間の会期で、著者による同名の写真展を東京・蔵前の iwao galleryにて開催し、
会場先行販売にて、ご来場の方に一足先にお手に取ってご覧いただきました。
ABIのオンラインショップを立ち上げましたので、今後は下記のサイトにてABI+P3既刊とともにご購入いただけます。

販売サイト: https://artbridgeinstitute.stores.jp/

レーベルサイト:https://www.abip3publishing.org/


『Across The Waters』港 千尋 著
— 旅の始まり、イメージの起源へ。
ブラジル、赤道地帯、ダブリンの一日から洞窟へ、時を遡るイメージの旅、全4章。
未発表含む写真52点(1982-2004)と書き下ろしテキスト(2022)を収録。

Brazilian Moment / Dog Day Equator / Chromatic Citizen / All Is Always Now
中綴じブックレット4冊 各32頁 28頁 24頁 20頁 三方背ブックケース付 / B4変型
デザイン:岡本 健 +
発行元:ABI+P3
販売元:Art Bridge Institute
価格:5,400円+税
発行日:2022年5月12日(直販開始日:5月28日)


●紹介文

フーアの夢
写真家はフーア(道)を自分の夢に引き込み、フーアは写真家を遠く消え去った時へ引き連れてゆく。陶酔に浸りながらフーアを彷徨う者は、目に映る過去の遺物を現在のように目醒めさせ、時には歴史の瞬間に立ち合う。
写真は誕生した時は目醒めだった。しかし200年が経った今から見ると、写真は目醒めているという夢を見ていたのかもしれない。
1982年のブラジル熱帯雨林を水源とする漂流(ドリフト)の証である港千尋の『Across The Waters』は、時そのものである。半世紀近い時の経過の中にしか、これらの写真は存在しない。憧憬と喪失、郷愁と悲哀がないまぜになった「遥けさ」の中で写真は光輝を授かり、水の流れのように現在というページへ浸み出してくる。
— 伊藤俊治(美術史家 / 東京藝術大学名誉教授)

ああ、これが港千尋という精神の、奥底に広がった地下水脈なんだな……。精神と風景が分かちがたくもつれあって、イメージの奔流となっている。旅をしなければ生きていけない我々のような人にとっては、何の説明もいらないだろう。それは4つの、バラバラに、たまたま遭遇した風景だが、すべては地下を流れる水でつながっている。いや、この『Across The Waters』で、それらがつながっていたことを、今、あらためて認識しているのか? 現像というのも面白いね。忘れていた、あるいはそこにあるのに気づいていなかったイメージが、徐々に現像液の中に現れて、ああ、そうだったのかと驚かされる。そしてこの水脈に、深く感謝するわけだ。しかしこれは、一個人に限られた、個々別々の水脈なのだろうか?
— 芹沢高志(P3 art and environment / 統括ディレクター)

著者プロフィール
港 千尋(みなと ちひろ)
1960年神奈川県生まれ。写真家。世界を移動しながら創作、研究、執筆、発表を続けている。 国際展のキュレーションなども手がけ、あいちトリエンナーレ2016では芸術監督を務めた。写真展「市民の色 chromatic citizen」で2006年度第31回伊奈信男賞受賞。写真集に『瞬間の山』(インスクリプト 2001)『文字の母たち』(インスクリプト 2007)など。『風景論—変貌する地球と日本の記憶』(中央公論新社 2018)で2019年度日本写真協会賞を受賞。近著に『現代色彩論講義─本当の色を求めて』(インスクリプト 2021)、『写真論—距離・他者・歴史』(中央公論新社 2022)。多摩美術大学情報デザイン学科教授。
'Across The Waters' Photos and Texts by Chihiro Minato ©️2022 Chihiro Minato ©️2022 Art Bridge Institute
新型コロナウイルスにより影響をうけているみなさまに、心からのお見舞いを申し上げます。

ABIは2014年からNPO法人としての活動をスタートし、国内外でオルタナティブな活動をするアーティストやアートプロジェクトにネットワークを生みだすことを目的に、さまざまな活動を展開してまいりました。その活動の軸に位置付けてきた機関誌『ART BRIDGE』(既刊最新6号/2019年3月)の発行を、当面の間休刊しますのでご報告いたします。

『ART BRIDGE』は「複数人で囲んで読んでほしい」というコンセプトから、定期刊行物としては異例のB3見開きという大きな判型を採用しました。配布の方法にも工夫を凝らし、郵送とは別に各地のネットワーカーが『ART BRIDGE』を読んでほしいと思う読者や団体に手渡しすることで、直接的な繋がりを生みだすメディアの可能性を試してきました。インターネットの利便性にはない、モノが作り出す直接的なコミュニケーションのあり方を考えつつ年1号のペースで刊行し、毎年開催したフォーラムやトークといった集まりは、次号のコンテンツになるとともに配布の機会でもありました。

しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまで当たり前であった対面によるコミュニケーションに、根本的な制約が生じてしまいました。『ART BRIDGE』が大切にしてきた、集まることや移動することが自由に出来なくなるなかで、機関紙のコンテンツとなるアクション自体を生みだすことも困難な状態が続いています。
こうした先行きが未だ見通せない状況の中で、活動を見直すタイミングであると判断いたしました。

『ART BRIDGE』は休刊いたしますが、進行中のABI+P3共同出版プロジェクトや、台湾との写真共同研究、各方面のリサーチなどは継続いたします。同時に、パンデミック下における文化的協働や、新しい時代への提言も行うべく、より一層の活動を展開してまいります。今後の活動はホームページやSNSなどでお知らせいたしますので、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
撮影 江上賢一郎
台湾と日本 時代と国を超えた民間写真史研究プロジェクト 記録集

2019年度は、昭和初期の民間写真を対象に、台湾と日本でワークショップやフォーラムを開催しました。
これらの記録を写真とテキストで紹介するもので、フルカラーの46ページです。
Art Bridge Instituteの賛助会員にご登録いただいたみなさまに配布しています。
<賛助会員とは?>

【目次】
・プロジェクト前史  関川歩
・海を渡った写真館ー遠藤家族の記憶 陳佳琦
・宮本馨太郎の台湾写真  堤涼子
・台湾「風景」の写真構造ー日本植民地時代における写真史  張世倫
・レポート|国際的写真研究に向けて 港千尋


【プロジェクトメンバー】
港千尋(写真家、Art Bridge Institute代表)
龔卓軍(台南芸術大学教授)
張世倫(写真史家)
陳佳琦(写真史家)
堤涼子(研究者)
原亜由美(キュレーター)
呂孟恂(通訳・コーディネート)
関川歩(プロジェクトマネージャー)

主催|NPO法人Art Bridge Institute
助成|日本万国博覧会記念基金
【お知らせ】 台湾と日本 時代と国を超えた民間写真史研究プロジェクト フォーラム開催
更新日:2019.10.27

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※イベントは終了しました。
近代以降、台湾と日本の間には、多くの写真家の往来がありました。双方で紡がれる"写真史"は資料や人など様々な面で絡み合い、一方だけでは完結し得ない関係性があります。
2019年、これまで台湾の写真家やコレクターと交流を重ねてきた港千尋が発起人となり、台湾の古写真を調査・研究するためのプラットフォームを立ち上げました。張世倫、陳佳琦ら台湾の研究者がプロジェクトメンバーに加わり、両国に散逸する資源や情報を共有し、台湾における写真史を学び合うことで、日本と台湾の研究者が共に写真を見て語り合うためのリテラシーを育むことを目的としています。またこれらの協働を通じて、台湾と日本の写真と記憶に関する、民間プラットフォームとアーカイブの可能性も探りたいと考えます。

このフォーラムでは、プロジェクトメンバーが集い、これまでの互いのリサーチについて報告するとともに、ゲストに野林厚志氏をお招きした公開講座を行い、このプロジェクトの可能性を考える場を作ります。


◎開催概要
時間:11月14日(木)15:00-20:00
会場:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター(東京メトロ虎ノ門駅より徒歩1分)
定員:50 名程度(入場無料、予約優先。30分前開場、自由席)
主催:NPO 法人Art Bridge Institute
共催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
助成:日本万国博覧会記念基金


◎予約受付
台北駐日経済文化代表処 台湾文化センターホームページより
ホームページはこちら


◎お問い合わせ
art.bridge.institute@gmail.com


◎スケジュール
プロジェクトメンバーによる報告会
15:00-17:30
港千尋 写真よ、語れ!
張世倫 台湾「風景」の写真構造:日本植民地時代における写真史
陳佳琦 共有する映像記憶と失った写真館の記憶:台湾と遠藤家族


休憩
17:30〜18:30


講演会・対談
18:30-20:00
「写真アーカイブスの可能性を探るー内田勣コレクションに刻まれた台湾の風景」1930年代から1940年にかけて台南一中で地理教師として勤務した内田勣(1906-1947)。国立民族学博物館には、彼が写した台湾風土の写真も多数アーカイブされている。国立台湾歴史博物館「南方共筆:継承される台南風土描写特別展」の報告をもとに、写真アーカイブの可能性をひもとく。

ゲスト講師:野林厚志氏
ホスト:港千尋


◎発表者・ゲスト 略歴

発表者
張世倫 (CHANG Shih-Lun)
1975年台北生まれ。評論家、写真史研究者。国立政治大学コミュニケーション学部新聞研究所修士、ゴールドスミス・カレッジ文化研究センター博士課程修了。台湾博物館「台湾写真史綱」研究計画(2015-2016)、「記録写真の「発明」及び変化」(台北市立美術館「なぜ写真は魅力的なのか?その嘘と真実、矛盾とその他」講座シリーズ)。学術論文〈台湾「風景」の写真構造:日本統治時代の写真の歷史研究〉《現代美術学報》33期(2017)などがある。

陳佳琦 (CHEN Chia-chi)
1975年台南生まれ。国立成功大学多元文化研究センター研究員。国立成功大学台湾文学博士(2004-2013)、国立台湾文学館助研究員(2003−2005)。これまでの主な発表に、台湾博物館「台湾写真史綱」研究計画(2015-2016)、 シンポジウム〈台湾写真史の限界と可能性〉(2017年国立台湾美術館「共再生の記憶:台湾の美術史の再構築アカデミックセミナー」に掲載)、学術論文〈写真アーカイブと画像の現代的な体験:1935年の台湾博覧会の写真展、実践、保存〉《現代美術學報》33期(2017)。著書に『台湾撮影家——黃伯驥』(2017)などがある。

港千尋(Chihiro Minato)
1960年神奈川県生まれ。写真家、映像人類学者。早稲田大学政治経済学部卒業。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授。近著に『風景論 変貌する地球と日本の記憶』(2018,中央公論新社)、『インフラグラム 映像文明の新世紀』(2019,講談社新書メチエ)などがある。


ゲスト
野林厚志(人類学者、国立民族学博物館教授)
専攻は人類学、民族考古学、物質文化論。主要な研究テーマは、台湾原住民族のエスニシティ、人間と動物との関係史、食の文明論。国内外の博物館における展示会も手がけており、国立台湾歴史博物館国際連携展示「南方共筆 継承される台南風土描写」(2018-2019)など。著書に『イノシシ狩猟の民族考古学 台湾原住民の生業文化』(2008,御茶の水書房) 、『肉食行為の研究』(2018,平凡社)などがある。

**天候、出演者の体調不良等でやむをえず内容は変更になる場合があります。