インターンプログラム 活動レポート
photo by Akihide Saito
インターンプログラム 活動レポート⑦

ブリッジトーク9回目、今回は現代美術家として活躍する丸山芳子さんをお迎えしてのトークでした。
当日はインターンの数名が会場設営や受付などのお手伝いをさせていただきました。
私が会場についた際、まず目に飛び込んできたのは天井から吊るされたオブジェでした。映像関係の確認をしていた最中であったため会場内は薄暗く照明が落とされ、スポットライトだけが丸山さんの作品であるそのオブジェを浮かびがらせていました。オブジェはシャンデリアのように、もしくは何か偉大なものの羽化を待つさなぎのように、きらきら、くるくると回転し続けていたのが印象的でした。
今回のブリッジトークのテーマは「精神の〈北〉」。「精神の〈北〉」は、丸山芳子さんが行っているアートプロジェクトです。「ひとりひとりの内なる〈北〉、精神の〈北〉とは何か?」という問いをテーマに、東北や世界の北方からアーティスト、研究者を招き、家屋を利用したアート作品の展示やシンポジウムの開催を行っています。
「精神の〈北〉とは、ひとりひとりの意識の中にある北。けして、東西南北の北に限定する話ではない」と丸山さんはお話しされていました。また「『あなたの心の〈北〉は?』という問いかけから始まる精神飛行」とも解説してくださいました。このトークが始まるまで、私が想像していた「精神の〈北〉」は日本における北国の伝統や郷土性だと考えていました。しかし丸山さんの「あなたの心の〈北〉は?」という問いかけを聞いたとき、私自身も意識がふわりと宙に浮いて、「私の〈北〉」を見つけにどこかへ旅立ちそうな感覚を覚えました。しんと静まり返り、丸山さんの穏やかな話し声だけが聞こえる会場内で、同じように精神飛行に旅立ってしまった来場者も多かったのではないでしょうか。 

今年は例年まれにみる暖冬で、ブリッジトーク前日までは日中コートを手に持って歩く人も多くみられるほどのあたたかな気候が続いていました。そんな気候と打って変わり、イベント当日は風の冷たさが頬を刺す寒さ厳しい日となりました。片付けが終わった会場を後にし冷たい北風に身を屈めた際、トークの中で港ディレクターが仰っていた「今日はこんなに寒くなるなんて、もしかすると丸山さんが〈北〉を運んできたのかもしれませんね」という言葉を思い出しました。

室内直美(ABIインターン)
12月17日(木) 19:30〜21:00
3331 Arts Chiyoda 3F アーツカウンシルROOM302

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