リトルトーキョー
ネットワーカー・東京支部 vol.01
高野英江(エデュケーター)
「日本仕事百貨」というサイトをご存知でしょうか。そのサイトには、全国のさまざまな職種の求人情報が載っているのですが、ただ仕事の条件だけが書いてある、普通の求人サイトではないのです。求人をしている会社を丁寧に取材した、そこで働く人の個性や職場の雰囲気が見えてくる素敵な文章で紹介されています。私たちは自分の仕事を分かりやすい言葉で表現してしまいがちですが、「日本仕事百貨」を読んでいると、一言では伝えられない、こんなにもさまざまな働き方、そしてそこから見えてくる生き方があったのかと気付かされます。
そんな「日本仕事百貨」の運営会社「シゴトヒト」は、清澄白河に「いろんな生き方・働き方に出会うことのできる小さな街」として「リトルトーキョー」というスペースを持っています。リトルトーキョーでは、毎回さまざまな職業のゲストが1日バーテンダーになり、お客さんと気軽に話ができるというイベント「しごとバー」が定期的に開催されています。5月のはじめ、「日本仕事百貨」でライターをしている後藤響子さんが「しごとバー」でカウンターに立つと知り、リトルトーキョーへお邪魔してきました。後藤さんと私は、昨年一緒にABIのインターンをしていました。インターンプログラムの中で、トークイベントのレポートを書く活動があったのですが、私は後藤さんの書く、強すぎることも弱すぎることもなく、芯が通っていて、すんなりと身体に入ってくる文章が好きでした。後藤さんの文章と、日本仕事百貨やリトルトーキョーという場所が持つ空気感は、とても似ているような気がします。その日のリトルトーキョーは、常連さんやTwitterを見てふらっと立ち寄ったという方など、さまざまな方が集う空間になっていました。リトルトーキョーに来れば、お酒をのみながら、良い意味での他者に自然と出会えるかもしれないという期待感が、人を集めるのかもしれません。
後々、リトルトーキョーに本棚をつくる予定だとうかがい、今回『ART BRIDGE 03』を後藤さんにお渡ししてきました。さまざまな生き方との出会いを大切にするリトルトーキョーに、ジャンルを超えた出会いの実験をする『ART BRIDGE』が介在することで、何かが生まれるかもしれないと思うと、今からリトルトーキョーに『ART BRIDGE』が並ぶ日が楽しみです。
高野英江(エデュケーター)
1989年茨城県生まれ。2012年、お茶の水女子大学文教育学部人間社会科学科卒。
2014年、東京大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻生涯学習基盤経営コース修了。在学中に、生涯学習・社会教育を勉強する傍ら、アートプロジェクトに関心を持つようになる。2014年より川崎市岡本太郎美術館にて、教育普及事業を担当。2015年度より、Art Bridge Institute(ABI)のインターンとして活動。2016年度は、ネットワーカーとしてABIの活動に関わるようになる。

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