舩木翔平
Shohei Funaki
八王子市由木地域の農業が身近にある暮らし
現在、八王子市由木地域は、多摩ニュータウンの一部で、マンションや住宅が立ち並ぶいわゆるベッドタウンです。元々、農業や酪農が盛んであったこの地域が多摩ニュータウン開発によって様変わりしました。しかし、その開発の中、由木地域の酪農家が中心となり、開発反対活動が始まりました。全てを住宅地にするのではなく、農業や酪農、里山を残し、新しく移り住んでくる住民とお互いに共存出来るような町づくりを提唱しました。その後、4ヘクタールの農地や酪農施設は守られ、多摩ニュータウン開発は、終わりました。2012年からその残された農地で新たに活動を始めたのが株式会社FIOです。FIOで様々なイベントや企画行い、多くの人たちがこの地に集まるようになった活動をご紹介します。
04 野菜たちの作り方

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私は、元々農家ではないので、正直、初めたばかりの頃は日常的な農家の仕事はあまり分からなかった。農業高校の授業でやった程度だったので、「土作り」「種まき」から消費者に届くまでを考えた事がなかったので、農業を始めてから知った事はとてもたくさんある。

◼︎とにかく、全ての量が多い。

先ず、「土作り」だ。一つの畑に大量の堆肥を撒かなくてはならない。トン単位で近隣の酪農家から牛糞堆肥や鶏糞堆肥を運び、何百㎡の畑にひたすら撒くのだ。臭いもそれなりにあり、畑一面に堆肥の臭いが漂う。畑には、軽トラックしか通れない場所もあり、何往復もする場合もある。更には、堆肥を撒くような機械がない為、全てスコップを使って撒く。これが毎年の冬の恒例行事だ。
堆肥撒きの後、1~2ヶ月おいてから「種まき」作業が始まる。ここでは、種まき専用の機械を使うため、さほど時間がかからなく何百粒、何千粒とまける。早いもので1ヶ月も経つとラディッシュなどが収穫時期をむかえる。ほうれん草、カブ、大根などは、3ヶ月ほどで出来上がる。一方、夏野菜はとても時間がかかり、いくつかの工程がある。例えば、ナスを育てるには、2~3月頃にセルトレイという種まき専用のケースの2cm×2cmのマスに一粒一粒種をまく。それを何百粒・何千粒とまく。
◼︎野菜大量収穫

小松菜は、毎年大量に作るため、毎日何10kg、多い時には1日に200kg近く収穫して、飲食店へ納品したこともあった。さらに凄かったのは、FIOの立ち上げ初年度に、サツマイモを7トン作ったこともあった。機械で掘ると傷がつくという事で、全て手で掘り、毎日200~300kgほどを一人で収穫した。さすがに一人では、7トン全てを収穫する事ができず、仲間と共に収穫した。それでも1ヶ月近くサツマイモの収穫作業は続いた。雨が降れば収穫のスケジュールが遅れることもあった。しかし、2週間ごとに納品先の4トン車のトラックがサツマイモを回収に来るため、それに間に合わせる必要があり、納品に遅れないよう必死だった。この年は、サツマイモ専業農家になった気分だった。
◼︎70種類の野菜たち

そんなFIO立ち上げから丸3年が経ち、今では年間70種類以上もの野菜を作り、そのほとんどを八王子市内の飲食店とFIO直売所「ジューク・ジューク」で販売するようになった。大根だけでも10種類ほどあり、ジャガイモも4種類、カブも6種類などなど、カラフルな野菜、変わった形の野菜など、種類豊富な野菜を作っている。見た目も違えば、味・食感も違う。それにより、野菜ごとにあった調理方法があり、それらのレシピをお客様とお喋りしながら、楽しく売っている。お客様とお喋りする時間が農業の中で一番楽しい時間かもしれない。

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