ぬかつくるとこ
nucatsukurutoko
ぬか日和
「ぬか つくるとこ」は、岡山県にある福祉事業所です。 毎日様々なひとが行き交い、生活のなかでおこるささいなデキゴトに目をむけ、 それに一喜一憂し、 成功も失敗もできる場所。「ぬか つくるとこ」という一風変わった名前の由来は、漬け物などを 漬けて発酵させる「ぬか床」から来ています。個々の魅力が「ぬか漬」のように時間をかけてゆっくりと発酵し、社会へと広がって行くことを願って付けました。そんな「ぬかつくるとこ」の日常を、少しずつ紹介していきたいと思います。
03 しょうへいくんのプラバン工場
しょうへいくんと顔を合わせると必ずハグをしてくる。
「おはよう、げんき?」
そして、耳元でそっとささやく。
「今日、来る?」
これが毎朝行なわれるお決まりの挨拶だ。しょうへいくんが「今日、来る?」と聞いてきたのは、ランチのお客さんが来るかどうかの確認。
「しょうへいくん、今日3名ランチのお客さんがいるよ。」
と言うと、満面の笑顔で、
「いいよ、オッケー。」
と言って準備にとりかかる。
いい笑顔のしょうへいくん
「ぬか つくるとこ」では20年以上飲食業で働いていたシェフがランチを作ってくれている。和食、洋食、中華、時にはアフリカン、ハワイアンまでバリエーション豊富なメニューとその美味しさに、ぬかびと、スタッフは胃袋を掴まれている。そのランチは一般の方にも提供しており前日までの予約が必要だが、800円(ドリンク付)、1000円(ドリンク+シェフの気まぐれスウィーツ付)の2種類がある。お客さんにはぬかびとさんと同じ場所でランチを食べてもらっている。通常、福祉事業所(特に生活介護事業所と呼ばれる場所)では一般の方が気軽に来るというイメージはない。そんな福祉的なイメージを払拭したいのと、ただ純粋にいろんな人と一緒に美味しい食事が食べたいという思いでランチの提供を始めた。しょうへいくんはランチ客の接客も担ってくれていて、配膳からドリンクのオーダーまでこなしてくれるマルチプレーヤーだ。
バラエティーに富んだシェフのランチ
しょうへいくんが「ぬか」に通い始めて2年以上が経つ。ひとが好き、特に女性が大好きな彼は、さまざまな人にプレゼントを渡し続けていた。そんな時に出会ったのがプラバンだ。(プラバンとはプラスティックの板に絵を描き、オーブントースターなどを使用して熱を加えて加工できるもので、1980年代から1990年代前半にかけて主に小学生の間で流行った遊び。)
そのプラバンでしょうへいくんは指輪やネックレスを作り、ぬかびと、スタッフ、ぬかに来るお客さんに向けて、プレゼントを作り始めた。プレゼントにはそっと手紙を添える。手紙にはストレートな言葉がしたためられている。

「デートしよう。」

更にしょうへいくんのお気に入りとなった女性には、目の前でひざまずき、プラバンの指輪とともにもっとストレートな言葉をプレゼントされるのだ。

「結婚してください。」

これをぬかでは「しょうへいくんのちょっとした下心」と呼んでいる。
しょうへいくんがいとも簡単にやっている事は、男にとってかなり気合いのいる事だ。

愛の告白を指輪を渡しながらするなんて…一生のうちに一度あるかないかではないかと思うが、しょうへいくんにとっては日常的だ。しかも嫌みなく、イヤらしさを感じないのが不思議。恐るべししょうへいくんの下心!とぬかスタッフの特に男達は思っている。(笑)
最近のしょうへいくんはプレゼントするだけではなく、プレゼントするひとと一緒に指輪をつくることを始めた。まさにワークショップだ。「ぬか」に来たひとは必ずと言っていいほど、指輪づくりワークショップを体験する。しょうへいくんは満面の笑顔で、優しく手取り足取り指輪づくりを手ほどきする。ひとつの机にしょうへいくんを囲んで楽しそうにものづくりをしている光景を見ていると微笑ましくもあり、羨ましさもある。ワークショップを体験して指輪をプレゼントされたあとのみんなの顔がすべてを物語っている。とにかくみんないい笑顔。これだけのひとを笑顔にすることができるしょうへいくんは、まさにプロフェッショナルだなと思う。

しょうへいくんにはお決まりの場所がある。日々持ってくるたくさんの荷物と、お気に入りのもの、そしてプラバンを作る道具が置かれた専用の場所。それはまさに

「しょうへいくんのプラバン工場」

まずは、おもてなしをするためのエプロンを付ける。それはしょうへいくんが大好きなシェフと同じ黒のギャルソンエプロン。そして机の上に指輪にするために細長く切ったプラバンをいくつも並べる。窓際にある工場に座り、今日もいまかいまかとお客さんを待っている。
女の子とウハウハ
極上のプレゼント
パフォーマンスも魅力的
工場長と工員たち
しょうへいくんの机
窓際のしょうへいくん
プロフィール
しょうへいくん
1992年生まれ。プラバンをはじめ、ひととの関わりをより楽しむためにしょうへいくんのものづくりがある。歌舞伎や獅子舞など、パフォーマンスもとびきりカッコいい。人を楽しませることにとことん長けている。

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