辻田美穂子
Mihoko Tsujita
故郷は文字通り、誰しもが持っている唯一無二の場所です。しかしそれは揺らぐことのない絶対的な存在なのでしょうか。16歳から19歳まで過ごしたオーストラリアでは自分が日本人であることを根本から否定されるような出来事がありました。生まれた大阪という土地で染み付いた風習を恥じ、土地柄はできるだけ隠して過ごしました。一方で、海の向こうから届く祖母からの手紙には、訪れることのできない遠い故郷の思い出が、大事に綴られていました。
他人と共有したい素晴らしい景色も、できれば隠しておきたい事柄も、写真として切り取られた「今」は、在りのままとして等価に写ります。たったひとつの場所を想い続けるということ。根を下ろさずに土地を移ろい暮らすとういうこと。2013年に北海道に移り住んで以来、これらの境界はだんだんと曖昧になりつつあります。日々の暮らしにカメラを持ち込み、全てを一旦並列にすることで、わからなさを解きほぐしていきたいと考えています。
00 プロフィール
1988年大阪生まれ。2012年ビジュアルアーツ大阪卒業。現在は北海道に住むが、これまで国内外の様々な土地に生活拠点を移している。2010年に日本からの墓参団に同行し、祖母の故郷であるサハリンを訪れる。数度に渡って訪れたサハリンで撮りためた写真は、「カーチャへの旅」(2016年、Kanzan Gallery)で発表されたほか、テキストとともにウェブサイトにも掲載されている。
http://mihokotsujita.com/Sakhalin.html

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